HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 10 Jan 2012 23:21:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:原発の寿命 40年可の保証にするな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

原発の寿命 40年可の保証にするな

 原発の寿命が、法律に明記されることになった。原則四十年。延長あり。だが勘違いはされるな。これで四十年まで安心という保証はどこにもない。あくまで、脱原発への一里塚の一つである。

 原発の寿命には、これまで法的な区切りがなく、運転開始から三十年を超えた原発は、事業者が提出した報告に基づいて、原子力安全・保安院が十年ずつ、延長の可否を決めることになっていた。

 このところ、原発の新増設が不可能になる中で「老朽化」を「高経年化」と呼び変えて、延命を図る傾向が顕著になっていた。

 米国では一九九一年に、運転期間を四十年から六十年まで延長できるよう改めた。科学的にというよりはコスト面からはじいた寿命だが、実際には三十年を超えると、廃炉にするケースが多い。

 私たちは昨年八月六日の論説特集でも、運転開始後三十〜四十年の老朽原発は、延長を認めず廃炉にするよう主張してきた。材料の寿命が三十年といわれているし、三十年前と今とでは機械の設計思想が違う。

 四十年という具体的な上限が課されたことは、ひとまず評価したい。ただし、それで安全というわけではもちろんない。

 四十年を“保証期間”とみてはならない。三十年に満たなくても、主要部分に細管破断や金属の疲労、減肉やひび割れといった重大なトラブルが生じたケースは多い。核分裂で生じる中性子が、原子炉をもろくする。

 寿命には例外規定がある。事業者が延長を希望すれば、審査の上で認められることもある。審査のあり方次第では抜け穴もできかねない。保安院を引き継ぐ原子力安全庁には、厳密な監視と厳正な審査を求めたい。寿命に達していないということを、安易な再稼働の口実にしてはならない。

 国内では福島第一原発1号機以外にも、関電美浜1号機と日本原電敦賀1号機が四十年を超えている。美浜2号機も七月に四十年だ。新増設は事実上不可能で、二〇三〇年には国内五十四基の原発のうち、三分の二が役割を終え、五〇年にはゼロになる。

 政府は四十年という期限を切った。これを機に、脱原発の道のりをより明確にして、原子炉の延命ではなく、代替エネルギー、とりわけ風力や太陽光など自然エネルギーの開発に力を注ぐ方針を明示すべきだ。少しでも安全と安心の時代に近づきたい。

 

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