HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 09 Jan 2012 22:22:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「刑務所行きを覚悟した」。「警察大佐」の肩書を持つ人が語る…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 「刑務所行きを覚悟した」。「警察大佐」の肩書を持つ人が語るのだから穏やかではない。ちょうど七年前の今ごろ、二十二万人以上の犠牲者を出したスマトラ沖地震津波の被災地で、タイ国家警察は遺体の身元確認に忙殺されていた▼カオラックの安置所に運び込まれてくる数千もの遺体確認作業で三カ月間、陣頭指揮を執ったのは、警視庁から派遣され鑑識の指導をしてきた戸島国雄さん(71)だ▼タイでは十五歳以上は指紋押なつが義務付けられ、指紋が採取できれば身元は確認できるが、一月でも三七度を超え腐敗が速い。一日に五十人がやっとだった▼日本で三十六年間の鑑識経験から、戸島さんはある特別な方法を採用することを決断した。遺体から指の皮を切り取り自分の指にかぶせ、インクを付けて採取するのだ▼遺体を傷付けることは犯罪だ。宗教上の理由からも反対する部下がいたが、一人でも多くの人を家族に返したいという思いから覚悟を決めた。一九九五年以来、率先して事件現場に入ってきた戸島さんだったからこそ部下も納得し、数多くの身元確認につながった▼『タイに渡った鑑識捜査官』を出版した戸島さんの話を先月聞く機会があった。二年の約束が十三年に延びて昨年夏、帰国したという。古希をすぎたとは思えない焼けた精悍(せいかん)な顔には、またタイの事件現場で働きたいと書いてあった。

 

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