HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 07 Jan 2012 21:22:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:そう言っては何だが、昔の童謡や童話によく出てくる動物という…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

 そう言っては何だが、昔の童謡や童話によく出てくる動物というのは本来、ごく身近な、ありふれた動物である▼『めだかの学校』のメダカ、『雀のお宿』のスズメもしかり。周囲にいくらでもいたからこそ、子どもが親しむ歌になり得たわけだが、近年は、スズメもメダカも激減が伝えられる。だから、これは少しうれしい話だ▼新美南吉の『ごん狐(ぎつね)』は、小学校の教科書にも載る名作童話だが、その舞台とされるのが、南吉の生家にも近い愛知県阿久比町の権現山。その山で昨秋、ここ四十年以上も目撃されていなかったキツネが確認されたのだという▼日本福祉大の福田秀志教授の研究室が、主人公の子ギツネ・ごんの名の由来ともされる山の頂上付近に、無人撮影できるカメラを設置、撮影に成功した。昨今は、生き物の話といえば、「消えた」「減った」が通り相場だけに「いた」というだけで慰められる▼ふと思いだすのが落語『たぬき』。子ダヌキが、命を助けてくれた男に恩返しする話が何パターンかあるが、中で、危うく救われた話を子ダヌキから聞いた親ダヌキは、いたく感心してこんなことを言う▼「そんな人は人間には珍しい。人間にしとくのはもったいない。タヌキの仲間へ入れてあげても恥ずかしくない人だ」。その営みで、“ありふれた動物”をそうでなくしてきた人間への痛罵にも聞こえる。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo