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1月7日付 編集手帳

 映画評論家の淀川長治さんは戦前、映画配給会社の宣伝部にいた。米国から『駅馬車』のフィルムが届く。封切りまで半月もない。困った淀川さんは…◆公衆電話で聞こえよがしにしゃべる。「『駅馬車』の試写、良かったぜ」。駅の伝言板に書いて回る。「『駅馬車』試写、見に行く」。口コミ作戦である◆この挿話がほほえましく感じられるのは、淀川さん自身が試写に「からだが震えだす」(中公文庫『淀川長治自伝』)ほどの感銘を受け、多くの人に映画を見て欲しいという情熱が選ばせた戦術だからだろう。金銭目当てに(うそ)をまき散らす当節の手口には、鼻白むばかりである◆飲食店の人気ランキングサイト「食べログ」で不正投稿が明るみに出た。飲食店から頼まれて好意的な口コミを投稿する請負業者がいるらしい。信用を傷つけられたサイトも、味やサービスの劣る店で散財させられる利用者も、ともに被害者である◆消費者庁が調査に乗り出したというが、飲食店みずからがいかがわしい請負業者と絶縁するのが一番だろう。ひとを惑わせる口コミには「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」しかない。

2012年1月7日01時33分  読売新聞)

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