HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52040 Content-Type: text/html ETag: "a3885-1d47-4b5a1ed54eac9" Expires: Thu, 05 Jan 2012 00:22:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 05 Jan 2012 00:22:10 GMT Connection: close 震災からの復興 東北の新たな発展につなげよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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震災からの復興 東北の新たな発展につなげよ(1月4日付・読売社説)

 東日本大震災からの復興を軌道に乗せることが日本がなすべき今年の大きな課題である。2012年を「本格復興元年」としたい。

 大震災は多くの人から愛する家族、住み慣れた我が家を奪った。支え合って生きてきた地域住民の「絆」も断ち切った。

 避難を余儀なくされ、仮設住宅や親類宅などで年を越した被災者は30万人を超える。

 被災者の生活を再建し、地域を再生する。政府が中心になり可能な限りの支援体制を築き、着実に前へと進めなければならない。

 ◆復興庁が司令塔に◆

 政府は、2012年度予算案の復興特別会計に3兆7754億円を計上した。11年度の第1〜3次補正予算と合わせると、復興費は18兆円を超え、当初5年間に見込んだ19兆円に迫っている。

 復興に全力を挙げるという政府の意思の表れだろうが、大切なのは、予算を有効に使うことだ。

 司令塔となるのが2月に発足する復興庁だ。

 復興予算を一括して要求し、各省に配分する。復興事業全体を統括・監理する。岩手、宮城、福島各県に設置される復興局が被災自治体の要望に応える。

 こうした機能をフルに発揮して、復興事業を円滑に推進してもらいたい。

 被災した自治体には、政府の鈍い震災対応への不満が強い。スピード感を持って取り組んでいくことが肝要である。

 急がねばならないのは、復興の障害となる、がれきの処理だ。

 震災直後、岩手、宮城県内では津波で破壊された家の建材などが至る所に散乱していたが、今はほとんど撤去された。

 だが、それらは仮置き場に移されただけで、焼却などの処理は遅々として進んでいない。がれきの量は、被災地での処理能力を大きく上回っている。

 東京都は、岩手県宮古市などのがれきの処理を請け負っている。これをモデルケースに、広域処理をもっと拡大させたい。

 福島県内のがれきは、政府が県内で処理する。東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射能汚染が深刻なためだ。

 県の内外に避難している住民の将来の帰宅を実現させるためにも、汚染がれきの処理を着実に進める必要がある。

 ◆効果的な除染を迅速に◆

 12月16日、福島第一原発の「事故収束」を宣言した野田首相は、「原発事故との戦いがすべて終わるわけではない」とも語った。その「戦い」の一つが、被災者の生活再建に欠かせない除染だ。

 福島第一原発周辺の警戒区域と計画的避難区域内は、環境省が除染を行う。

 それ以外の地域で、放射線量の高い地点がある市町村は、国の費用負担で市町村が除染作業を実施する。対象は東北3県と茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の計8県102市町村に及ぶ。

 表土の除去、建物の洗浄、樹木の枝打ち――。広範な除染作業が必要となろう。市町村だけでなく、政府にとっても過去に経験のない取り組みである。

 自衛隊が、福島第一原発に近い役場周辺を高圧洗浄機などで除染したところ、空間線量が最大で78%低減したという。

 こうしたノウハウを除染対象地域で共有し、効果的、効率的な作業を実施する必要がある。

 福島県内の汚染土壌などを一括して長期間、保管する中間貯蔵施設の建設にも、早期に着手しなければならない。

 ◆産業再生と雇用確保を◆

 津波で壊滅的な被害を受けた市町村は、新たな街づくりへ一歩一歩動き出している。

 難しい課題が山積している。地区ごと高台に移転するのか、元の場所で再建するのか。住民の意見が対立している地区がある。集団移転先の土地をどう確保するのかといった問題もある。

 市町村は、住民の意向を十分に踏まえ、将来の津波襲来に耐え得るきめ細かい計画を地区ごとに策定することが求められる。

 働き先が被災して仕事を失った人たちの支援も急がれる。先の見えない不安感などから、心の不調を訴えるケースが多いという。

 産業を再生させ、雇用を確保することが重要だ。基幹産業の漁業を立て直すため、漁港の修復を急がねばならない。新規立地企業の法人税を5年間免除する復興特区制度を、新たな企業進出の呼び水として活用すべきである。

 福島県に最先端の医療機関や医療関連産業を集積させたり、再生可能エネルギーの研究開発拠点を設けたりする政府の構想も、復興の後押しとなろう。

 被災地を従来以上に発展させる。東北再生を日本全体の成長へとつなげていくことが大事だ。

2012年1月4日01時09分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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