HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19825 Content-Type: text/html ETag: "828cc8-4806-b6594c0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 03 Jan 2012 00:21:42 GMT Date: Tue, 03 Jan 2012 00:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2012年1月3日(火)付

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 太平洋にあって大西洋にないものの一つに、日付変更線がある。南洋の島国サモアが先日、自国の標準時を変更線の東から西側の時間帯に移した。地図では、サモアの西を通っていた変更線が東に引き直される▼近くの豪州やニュージーランドと丸一日近い時差があり、ビジネスに不便だったそうだ。観光の売り物「日付が最も遅く変わる国」が「早く変わる国」に。昨年12月29日の翌日を31日にしたというから、この国には2011年の12月30日がなかったことになる▼世に「消せる日」があるとは知らなかった。3月に消したい日が一つある古いカレンダーは、その仕事を終えた。真新しい暦を前に思うのは、1日どころか貴重な何年かが欠落したような、わが政治の歳月だ▼1年前の小欄で、永田町の冬景色を嘆いて書いた。「内からでも外からでもいい。『国起こし』の雷鳴がこれほど待たれる正月はない」と。雷はとどろくべき所をまるで間違え、政権は内向きの争いに明け暮れる▼年頭に記者会見するリーダーは、ここ7年で7人目だ。民主党のマニフェストは総崩れ、首相が消費増税を決意すると、党内で「選挙怖し」の反対署名や離党の動きが続いた。情けない有り様である▼それでも、日本を諦めるわけにはいかない。太平洋にあって大西洋にないものの中で、私たちを乗せた列島に代わりはない。ならば国の将来を政治家に丸投げせず、とりわけ若い人は声を上げよう。松の内に書くのも何だが、神頼みはいけない。

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