HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 30 Dec 2011 23:21:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:空気が澄んでいる冬は、夜空の星がよく見える。寒さをこらえな…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 空気が澄んでいる冬は、夜空の星がよく見える。寒さをこらえながらも、オリオン座やシリウスを見上げていると、ざらついた心も落ち着いてくる。フランスの哲学者アランは憂鬱(ゆううつ)な人に言いたいのは「遠くをごらんなさい」の一言だと書いた▼<憂鬱な人はほとんどみんな、読みすぎなのだ。人間の眼は、こんな近距離を長く見られるようには出来ていないのだ。広々とした空間に目を向けてこそ、人間の眼はやすらぐのである>(『幸福論』)▼とはいえ、のんびりと遠くを眺めるような心の余裕のない一年だった。かけがえのない人を連れ去った海は見たくない、という被災者がいるかもしれない。原発事故で離れた故郷の方角を遠くから眺めるしかない人もいる▼<荒星を消す天涯の死者の数>深谷雄大。今年ほど生と死を意識した年もなかった。三月十一日以降、このコラムでも津波や原発事故のことを取り上げる日が圧倒的に多かった▼少しでも現場を見て書きたいと、十五回ほど被災地に行って取材してきた。ボランティアで泥かきも経験したが、通りすがりの記者の書くものが、どれだけ被災者の思いをすくい取れたか心もとない▼<去年(こぞ)今年貫く棒の如(ごと)きもの>虚子。年が改まって何かが大きく変わるわけではないが、おかしいことはおかしいと声を出し続けたい。一年間、ご愛読ありがとうございました。

 

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