HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50565 Content-Type: text/html ETag: "add36-16ae-4b5293d177753" Expires: Thu, 29 Dec 2011 21:21:58 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 29 Dec 2011 21:21:58 GMT Connection: close 金総書記国葬 「北」3代の正統性が問われる : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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金総書記国葬 「北」3代の正統性が問われる(12月29日付・読売社説)

 北朝鮮の平壌で、17日に死去した金正日総書記の国葬が行われた。

 ひつぎを載せた車が市内を葬送行進し、沿道で群衆が見送った。哀悼期間の最終日となる29日の中央追悼大会で、総書記の三男で後継者の正恩氏を中心とした新体制の出発を誇示するとみられる。

 総書記の訃報発表以来、追悼行事が続き、国営メディアは大きく報じている。3代世襲の正統性を国内外に印象づけ、体制の結束を図る狙いがあるのだろう。

 一連の動きは、17年前、金日成主席が亡くなった後とよく似ている。だが、当時50歳代だった2代目の正日氏が軍最高司令官、国防委員長の要職にあったのに比べ、20歳代後半の正恩氏は、経験も肩書も貫禄も不足している。

 この10日間で「偉大な継承者」「党と国家、軍隊の英明な領導者」「最高司令官」などと呼ばれ始め、権威付けは急速に進んだ。体制の中核を成すエリート層は、権力を継承する「正恩」体制の正統性確立に懸命になっている。

 目を引くのは、軍部の大きな存在感である。喪主の正恩氏の後ろには将軍たちが勢ぞろいし、後見役と目される総書記の義弟、張成沢・国防委員会副委員長も、初めて大将の軍服姿で登場した。

 軍が、強い発言力を今後も保持することをうかがわせる。軍を最優先する「先軍政治」は維持され、核兵器や弾道ミサイルを増強する路線が変わる気配は見えない。

 中国は、この「正恩」後継体制を全力で支える姿勢だ。胡錦濤国家主席以下、最高幹部は全員、北京の北朝鮮大使館を弔問に訪れ、外務省報道官は正恩氏の訪中を歓迎すると述べた。

 朝鮮半島情勢の安定を望む点は日本も同じだ。北朝鮮の新指導部に、拉致問題の解決や核廃棄に真摯(しんし)に取り組まねば、経済再建に必要な支援は得られない、と認識させることが肝心である。

 平壌では、商店などに砂糖や鮮魚が供給され、正恩氏の「恩情」が強調されている。しかし、特権層が居住する首都は恩恵に浴しても、地方では配給が事実上なくなって久しい。体制への忠誠心も薄まっているだろう。

 総書記が公約した「人民生活の向上」を実現できなければ、後継体制の正統性は足元から揺らぐ。統制社会は内部から崩れよう。北朝鮮情勢は依然、流動的だ。

 日本は、朝鮮半島での不測の事態に備え、邦人保護や難民対策などで、米国、韓国、さらに中国と連携を強めておく必要がある。

2011年12月29日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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