HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 28 Dec 2011 21:22:17 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「なし崩し」という言葉は、本来は「済し崩し」で、金を少しず…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 「なし崩し」という言葉は、本来は「済し崩し」で、金を少しずつ返済するという意味だ。転じて物事を少しずつ堅実に片付けることを意味するが、既成事実を重ね骨抜きにするという負のイメージで用いられることが多い▼時代とともに、言葉の使用法も変わる。後者の意味がぴったりくるのは、民主党政権の政策転換だ。政権交代から三人目となる野田佳彦首相の就任後、ろくな議論もないままに、既成事実化される感がますます強まったように思える▼「コンクリートから人へ」のスローガンの下、マニフェストにも「中止」とはっきり書いた八ッ場(やんば)ダムは、旧建設省出身の大臣が建設再開を決めた。マニフェストになかった消費増税も、あたかも既定路線のように党内議論が進む▼なし崩しの典型が武器輸出三原則の緩和だろう。慎重だった公明党に配慮して、自民党政権ですら踏み込まなかった「しばり」を取り払ってしまった。防衛産業を衰退から守るために、政権は平和国家の看板を一つ捨てた▼年末まで精力的な外交日程をこなす野田首相はきのうインドに旅立った。インド独立の父ガンジーの慰霊碑には、彼が心に秘めた七つの「社会的な罪」が刻まれている▼労働なき富、良心なき快楽、人格なき学識、道徳なき商業、人間性なき科学、献身なき信仰…。最初に書かれている罪は、理念なき政治である。

 

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