HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50529 Content-Type: text/html ETag: "a6014-16b6-4b500f4dffac6" Expires: Tue, 27 Dec 2011 02:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 27 Dec 2011 02:21:10 GMT Connection: close 原発事故報告 首相官邸が混乱の一因だった : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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原発事故報告 首相官邸が混乱の一因だった(12月27日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所事故に関する政府の「事故調査・検証委員会」が中間報告を公表し、政府、東電が犯した判断ミスを指摘した。

 教訓を、今後の原発の安全確保に生かしてもらいたい。

 とりわけ深刻だったのは、首相官邸の混乱だ。官邸が「助言」として東電に発したものは、ほとんどが役に立たず、現場に悪影響を与えたものもあったという。

 原子炉1号機冷却のための海水注入を巡る混乱は代表例だ。炉心は空()きの状態で、過熱を止めるには注水が必須だったが、菅前首相が「再臨界」を懸念した。

 東電本店は、首相了解なしと解釈して、すでに始まっていた海水注入の中断を現場に指示した。だが、福島第一原発の所長は、止めれば危険と判断し、続行した。

 所長は「続行」を部下に指示する一方、本店とのテレビ会議では「海水中断」を宣言する芝居を演じざるを得なかったという。

 原因として中間報告は、政府内の連携不足や、政府と東電の意思疎通の欠如を挙げている。

 関係省庁幹部らが詰めていた官邸地下の「危機管理センター」は携帯電話が通じず、菅前首相ら首脳は「官邸5階」に陣取って独自に情報を収集し、指示を出していた。政府中枢が分断していた。

 「福島第一原発を東電が放棄し、全面撤退」との誤情報に基づいて、菅前首相が東電に乗り込んだのは混乱の極みと言えよう。

 中間報告は、住民避難の混乱や放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の情報公開の遅れも原因は同じ、と批判している。

 原発事故に限らず、緊急時に政府が一丸で対応できる危機管理体制を構築しておくべきだ。

 現場の対応が適切であれば、破局的な事態を防げた可能性があることも指摘されている。

 1号機では、津波襲来で電源が失われ、緊急冷却装置が自動停止した。だが、現場も東電本店も作動中と誤解していた。この装置の停止を踏まえ、消火配管などから冷却水注入を急げば、炉心溶融を遅らせることができた。

 原発を襲う「想定外」への備えが甘かった、と中間報告は結論付けている。政府、原子力関係者は重く受け止めねばなるまい。

 中間報告は、津波到来まで重要機器が正常に作動していたことから、地震による重大な損傷はなかったとの判断も示している。

 停止している各地の原発について、政府が再稼働を判断する際に考慮すべき事実だろう。

2011年12月27日01時06分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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