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天声人語

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2011年12月26日(月)付

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 阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」と巨人の「闘魂こめて」は、ともに古関裕而(ゆうじ)が作曲した。高校野球の「栄冠は君に輝く」で知られる古関は、早稲田の「紺碧(こんぺき)の空」、慶応の「我ぞ覇者」の作者でもある▼作詞家阿久悠さんの本紙連載にあった話だ。阿久さん自身、複数の球団歌を手がけた。節操がない、などと言うなかれ、プロの仕事とはそういうものである。芸術家なら己の「美学」の許す限りでだが、顧客の注文に合わせる器と技が要る▼一方で、八方美人では務まらない職業もある。政治家だ。柔軟と変節、太っ腹と無定見の間には濃い一線を引かねばならない。橋下徹大阪市長にすり寄る民主党、自民党の面々には淡い線もないらしい▼両党は市長選で橋下氏を攻撃した。衆院選での報いを恐れたにしても、「独裁ごめん節」と「橋下万歳音頭」を続けて歌える神経は信じがたい。同じ握手でも、幾らか恥ずかしそうにできないものか。「政党の馬鹿が手玉に取られてる」(石原都知事)との評にうなずく▼鈴木宗男氏の「出所祝い」でも、政治家の変わり身を見た。親交の深い議員にまじり、かつて国会や街頭で鈴木氏を罵倒した顔がある。氏は意に介さない風だったが、こちらが赤面した▼そんなものさと諦めるなかれ。国の危機にこそ、政治家の節操が厳に問われるべきだろう。ぶれないのは誰か、自分たちの選挙より、顧客である有権者のことを考える本物のプロは誰かを覚えておきたい。党名と氏名の両方で。

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