HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48051 Content-Type: text/html ETag: "f5068-1224-4b4d8d8f2c17d" Expires: Sun, 25 Dec 2011 03:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 25 Dec 2011 03:21:41 GMT Connection: close 12月25日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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12月25日付 編集手帳

 <望郷の声なき叫び墓地に満つ>(シベリア抑留体験者の川柳集から)。21年前の冬、戦後の抑留問題の取材で、旧ソ連の各地に元日本兵ら抑留死亡者の埋葬地を探し回ったことがある◆イルクーツク州では、シラカバ林の凍土を浅く掘り、遺体に土を盛っただけの「土まんじゅう」が累々と続く埋葬地に遭遇した。1本の墓標さえない。「家に帰りたい」「肉親に会いたい」。叫び声が聞こえてくるようだった◆イルクーツク州の収容所で、終戦の年の暮れに死亡した佐藤敏雄さんの遺骨が今月、出征から67年ぶりに青森県黒石市の郷里に帰った。長男の智則さん(66)は「夢のよう」と喜ぶ一方で、8年前に亡くなった母を思う。「生きているうちに迎えたかった」◆政府は海外戦没者の遺骨収集に加え、12年前からはDNA鑑定による身元の特定作業を進めている。佐藤さんの遺骨も旧ソ連政府提供の死亡者名簿とDNA鑑定で遺族が判明した◆抑留中、シベリアから北朝鮮に移送され、そこで死亡した元日本兵も数千〜1万人いるという。どこに、どう埋葬されたのか。声なき望郷の叫びに応えるすべはないのか。

2011年12月25日01時15分  読売新聞)

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