HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 21 Dec 2011 23:22:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オリンパス事件 世界が捜査を注視する:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

オリンパス事件 世界が捜査を注視する

 オリンパスに家宅捜索が入り、巨額損失隠しは刑事事件に発展した。歴代経営陣による長年の不正処理は、日本の証券市場の信頼性も揺るがせた。世界が注視する事件だけに厳正捜査を強く求める。

 「経営の中心部分が腐っていた」−。オリンパスの損失隠しを調査した第三者委員会の言葉だ。既に米国や英国の捜査機関も動きだしている。有価証券報告書の虚偽記載の疑いで、東京地検や警視庁などが関係先の一斉捜索に入ったのは遅すぎると思えるほどだ。

 そもそも同社の英国人元社長が、英医療機器メーカーを買収した際、投資助言会社に法外な報酬を支払った問題などを鋭く指摘していた。逆に同社は、この元社長の解任に走った。「口封じ」できるとでも思っていたのだろうか。不信の根源の一要因だ。

 同委員会が調査したところ、「飛ばし」と呼ばれる不正な会計処理で隠した損失額は二〇〇三年時点で約千百八十億円に上っていた。トップ主導の不法行為といえども、これほどの不正経理を見抜けなかった経営陣全員の能力が問われるのは当然である。

 内視鏡分野で世界の70%のシェアを持つ“優良企業”の不正により、日本のマーケット自体が国際的に不信の目にさらされた。十四日に発表された九月中間連結決算の純損益は約三百二十億円の赤字で、粉飾のツケが回った。

 捜査では「飛ばし」や企業買収による損失穴埋め、違法配当などの実態解明が焦点となろう。立件は時効にかからない範囲に限られるが、財テク失敗とその隠蔽(いんぺい)を重ねてきた歴代首脳の関与も深く洗い出すべきである。

 不正処理にかかわった投資助言会社などはむろん、監査法人の責任も厳しく問わねばならない。不自然な企業買収を問題視しながら、最終的に「適正」との意見書を出していた。企業会計のお目付け役たる監査法人の責務を果たしていなかったことは明らかだ。

 同社は一千億円規模の資本増強の準備に入ったというが、増資に反対する大株主のファンドもおり、行方は不透明だ。むしろ注目されているのは上場廃止問題だ。東京証券取引所が今後、虚偽記載の影響の重大性や悪質性を精査して判断することになる。

 捜査がどこまで企業犯罪を追及できるか。東証がどんな判断をするか。信頼度が試される中で、生ぬるい結果が出れば、市場全体への失望が加速する。

 

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