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１２月２０日付　よみうり寸評

　２か月ぶりに登場した女性の看板アナウンサーが沈痛な面持ちで将軍さまの死を伝えた。背景には白頭山の景観があしらわれていた◆朝鮮人民革命軍最高司令部の密営のあった白頭山中で金正日(キムジョンイル)総書記が生まれたとされる神話の聖地。事実は旧ソ連が生地らしいが、北朝鮮は認めていない◆北朝鮮・金王朝の２代目は神話に包まれて誕生、そして死んだ。こうして王朝は３代目に継承されようとしている。その人、三男の正恩(ジョンウン)氏（２８）をかの女性アナウンサーは重々しく「偉大な継承者」「卓越した領導者」と伝えたが、氏に神話はまだない◆金王朝の初代、金日成(キムイルソン)から２代目、正日への権力継承は２０年もかけて行われたが、３代目への継承過程は始まったばかりだ。肩書もまだ不足な状態だ◆神話の方も「革命と建設を百戦百勝に導く傑出した思想家・理論家で、不世出の先軍統帥者」などやっと礼賛が始まった段階。このあたり世を去った将軍さまも心残りかも知れない◆今の国家で３代世襲は異様、行方はすべて未知数だ。

（2011年12月20日13時59分読売新聞）

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