HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48123 Content-Type: text/html ETag: "ad6e0-12fe-4b4886925fb3b" Expires: Wed, 21 Dec 2011 03:22:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 21 Dec 2011 03:22:17 GMT Connection: close 12月21日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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12月21日付 編集手帳

 遠国の大名が帰郷することになり、愛人のもとに別れを告げにいく。女は涙を流して悲しむ…と見せてじつは(うそ)泣きで、水をこっそり目につけている◆太郎冠者(たろうかじゃ)が見破り、水を墨汁にすり替えたからさあ大変、女は顔を真っ黒にしながら泣きつづける…。狂言『墨塗(すみぬり)』である◆芝居であれば愉快だが、笑うどころか命がけの演技に違いない。金正日総書記が死去した後の北朝鮮内部の様子が、少しずつ明らかになってきた。「泣くふりをしないと連行されるから、皆、泣いている」「国営テレビで悲しむ住民の大半は演技だ」。韓国の脱北者団体に、北朝鮮の住民が電話で伝えてきたという。飢えて、しいたげられて、胸をなで下ろす代わりに嘘泣きをして、気の毒な人々である◆〈拉致の「拉」が/怒り、(かな)しむ瞳の中で/「泣」とかすんだ日を忘れない〉(橋本利光=中央経済社刊『日本一短い手紙・喜怒哀楽』より)。小泉訪朝で国家犯罪が白日のもとにさらされた「あの日」のことだろう◆自分と家族の人生をめちゃくちゃにした張本人の死に、拉致被害者も嘘泣きを強要されているのか。むごい国である。

2011年12月21日01時17分  読売新聞)

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