HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 19 Dec 2011 21:21:37 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日韓首脳会談 償いは現実的な対応で:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日韓首脳会談 償いは現実的な対応で

 日本と韓国は五百万人を超す人々が行き来し文化交流も盛んだが、歴史の問題が横たわっている。京都で開かれた日韓首脳会談では、過去を省みながら未来を志向する難しさにまた直面した。

 李明博大統領は会談で戦時中の従軍慰安婦問題を取り上げ「両国間の障害であり、優先して解決する勇気を持つべきだ」と訴えた。

 経済連携協定(EPA)の交渉再開や北朝鮮情勢についても意見交換をしたが、韓国側の説明だと、歴史の懸案に大半の時間が割かれたという。

 野田佳彦首相は元慰安婦への謝罪と賠償については解決済みとの政府見解をあらためて表明したが、一方で人道的見地から努力する考えを示した。またソウルの日本大使館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女の像を撤去するよう求めた。

 元慰安婦のおばあさんたちの生存者は六十三人、平均年齢は八十六歳だ。「残された時間は少ない」という大統領の言葉は重い。しかし、日本側が国家賠償とは別枠で対応してきたことも事実だ。

 一九六五年の日韓国交正常化に伴う協定で、個人の賠償請求権は解決したと確認した。日本政府は九三年、官房長官談話で従軍慰安婦への日本軍の関与を認め「心からのおわびと反省」を表明した。九五年には財団法人・アジア女性基金が設立され、元慰安婦らへの「償い金」を準備した。

 台湾やフィリピンの元慰安婦らは受け取ったが、韓国の市民団体と当事者の大多数は「国家の責任を認めたものではない」として受け取りを拒否した。当時の金泳三、金大中の二代の大統領はともに基金による賠償を断り、元慰安婦たちの経済支援は自ら行うと明言したが、いま韓国内ではその経緯は話題にもならないようだ。

 ただ、過去の償いで未解決なものがあると日韓双方が確認した場合には、現実的な対応を模索したい。植民地統治が残したサハリン残留韓国人の帰国や在韓被爆者への健康管理については、既に日本赤十字などが韓国側と協力し支援している。慰安婦問題でも女性基金の後続措置が取れないか、検討する必要があろう。

 日韓併合百年にあたる昨年、李大統領は文化財の引き渡しなど日本の対応を「一歩前進した努力だ」と評価した。対立があっても首脳のシャトル(相互訪問)外交は続いている。歴史の懸案解決には、韓国側にも柔軟な対応を望みたい。

 

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