HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49578 Content-Type: text/html ETag: "cf278-1669-4b44bf6443be1" Expires: Sat, 17 Dec 2011 20:21:45 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 17 Dec 2011 20:21:45 GMT Connection: close 消費者安全法 悪徳商法に抜け道を許すな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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消費者安全法 悪徳商法に抜け道を許すな(12月18日付・読売社説)

 消費者につけいる悪徳商法は、手を替え、品を替えて現れる。被害拡大を防ぐには、行政側が機動的に対処できる体制づくりが欠かせない。

 消費者庁は、来年の通常国会に悪徳業者に対する調査権の強化などを盛り込んだ消費者安全法改正案を提出する方針だ。

 2年前、「消費者行政の司令塔」として消費者庁が発足した際、業者への勧告や命令などの権限を含む消費者安全法が施行された。

 だが、消費者の身体に危険がある重大事故を防ぐ目的に限られ、財産被害の防止目的では認められていない。

 そうした法令のすき間で、多くの被害が発生している。

 途上国通貨の取引勧誘などは典型例だ。混乱が続くイラクの通貨ディナールを「いずれ国が安定すれば20〜30倍になる」などと言って、円との交換を持ちかける。

 実際には交換したレートほどの価値はなく、値上がりする可能性も乏しい。消費者が円に再交換を求めても業者は応じない。通貨の両替商法は、金融商品取引法などの既存法令では規制が困難だ。

 業者はイラク通貨商法が問題化すると、アフガニスタンやリビアなどの通貨で同じように勧誘を続ける。会社名も次々と変え、行政は有効な手を打てなかった。

 実態のない温泉付き有料老人ホームなどの利用権を売りつける商法も横行した。こうした権利売買商法も、特定商取引法などで網をかけるのは難しい。

 被害が拡大し、深刻化してようやく、警察が詐欺容疑などで捜査に動くというのが実情だ。悪徳商法の芽を早期に摘み取りたい。

 改正案は、このような財産被害が拡大する恐れがある場合も、消費者庁が業者に問題商法の中止を命令できるようにする。

 さらに、事実上の仲間と見られる業者など、広く関係者を調査できる権限を盛り込むことで、迅速に業者名を公表して、注意喚起できるようにするという。

 消費者庁にも、悪徳業者を撲滅するという強い姿勢が必要だ。

 今でも、消費者保護に必要とあれば関係省庁に「措置要求」できるが、発動した例はない。業者名を公表して注意喚起できた事例もわずか4件にとどまる。

 消費者庁が権限を使い切れていないのではないか。体制の見直しも同時に進めねばならない。

 悪徳業者を見逃さず、被害者を泣き寝入りさせないためには、警察や自治体など関係機関との連携を密にすることが必要だ。

2011年12月18日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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