HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 14 Dec 2011 23:22:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:トヨタの提携 必要なら柔軟な発想も:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

トヨタの提携 必要なら柔軟な発想も

 トヨタ自動車がドイツの自動車大手BMWと環境分野での業務提携を発表した。欧州市場対応とはいえ、これまでの「自前主義」からの大転換ともいえる。柔軟な対応は自動車に限らないはずだ。

 提携では、トヨタはBMWから環境性能の高いディーゼルエンジンの供給を受ける。両社共同で、電気自動車(EV)向けなどの次世代リチウムイオン電池の研究開発も進める。トヨタはディーゼルエンジンを、中型車に載せて、二〇一四年から欧州市場向けに投入する。

 自動車の基幹部品であるエンジンを他社から調達するのは、これまで自前でつくってきたトヨタにとっては全くの異例だ。

 環境規制や消費者のニーズ、それに対応した自動車の普及度合いは、世界中の地域によって違いがある。トヨタは、ハイブリッド車(HV)分野で先行しており、EVや燃料電池車(FCV)の研究開発にも経営資源を注いできた。ただ、ディーゼルの分野では、欧州のライバル各社に及ばない。

 欧州市場ではディーゼル車が人気だ。一四年には排ガス規制が強化される。市場占有率(シェア)が6%のトヨタも対応が迫られるが、すべての分野を自前で行うのは負担が大きい。経営資源と時間を費やさずに競争力を維持向上するには、提携が有効と判断したわけだ。弱点を補いつつ、その分、強みであるHVやEVに集中できる。合理的な考えといえる。

 フランスのルノーと連合する日産自動車は、ドイツのダイムラーとも提携を進めるなど、自動車業界は今後も環境技術を軸にした連携が増えると予想される。

 トヨタは、同社ならではの生産方式でも従来のやり方を一部見直している。東日本大震災やタイの洪水で、サプライチェーン(部品の調達・供給網)が寸断されたことを教訓に、必要なときに必要な分だけ部品調達する「ジャスト・イン・タイム」を切り替え、電子部品などは一定の在庫を持つようにしたのだ。

 自前主義や生産方式の見直しは経営戦略の方針転換といえる。グローバル化やインターネットの進展、超円高など、時代の流れが速く複雑な現代、難局に直面することは、トヨタや自動車業界だけでなく、どの企業、産業にも起こりうる。

 柔軟な発想が求められる一方、手を広げれば、さまざまな判断や経営の厳しさも増える。消費者第一の精神は大切にしてほしい。

 

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