HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 14700 Content-Type: text/html ETag: "93cd62-3401-67f3bd00" Cache-Control: max-age=4 Expires: Tue, 13 Dec 2011 20:21:36 GMT Date: Tue, 13 Dec 2011 20:21:32 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年12月14日(水)付

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 道を外すことを「ぐれる」と言うが、その語源はハマグリらしい。2枚の貝は本来ぴたりと合うが、ひっくり返すと合わなくなる。そこから、物事が食い違うことをグリハマと言うようになり、グレハマに転訛(てんか)して、グレに活用の語尾がついたという▼「愚連隊」は派生語になる。近ごろはあまり聞かないが、韓国沖で不法操業する中国漁船団にその一語が浮かんだ。徒党を組んで凶暴化し、とうとう取り締まる韓国当局者に犠牲が出た▼自国の海は乱獲で魚介類が枯渇し、隣の海へ来るらしい。釣れども綱(こう)せず。すなわち釣りはしても一網打尽にはせず、ものごとに節度を保つよう先賢の孔子さまは説いたが、馬耳東風のようだ。怒った韓国は銃の使用条件を緩めるという▼「漁民への教育と管理を強めている」と中国政府は言うが、改まる気配はあるのだろうか。漁船まで膨張主義の一翼を担うかのような図は、一衣帯水の友誼(ゆうぎ)ではなく、緊張だけを高めている▼次の国家主席と目される習近平(シー・チンピン)氏が人権問題について「腹いっぱいでやることのない外国人が中国の欠点をあげつらっている」と発言したことがあった。海外からは批判されたが、国内では愛国的と称揚された。人権に限らず、苦言忠言に耳をふさぐ排他の空気が濃くなってはいないか▼いまや世界第2の経済大国である。南シナ海問題、排出量世界一の温室効果ガス、その他もろもろ、ふさわしい自覚と責任がそろそろ欲しい。巨竜にぐれられては、世界の歯車が狂う。