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2011年12月14日(水)付

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社会保障改革―現役支援を打ち出せ

政府と民主党が、社会保障と税の一体改革で素案づくりを始めた。社会保障については16日にとりまとめ、その後、消費増税の議論に入る予定だ。いま、社会保障の改革に求められる理[記事全文]

スマートメーター―電力会社の都合許すな

電力不足に対応するため、家庭での節電につとめたい。しかし、決定的に足りないものがある。電気の消費量をこまめに把握できるメーターだ。世界では、すでに[記事全文]

社会保障改革―現役支援を打ち出せ

 政府と民主党が、社会保障と税の一体改革で素案づくりを始めた。社会保障については16日にとりまとめ、その後、消費増税の議論に入る予定だ。

 いま、社会保障の改革に求められる理念は何だろうか。

 私たちは、様々な仕組みを持続可能なものにすることだと考える。そのためには、支え手である現役世代への目配りが欠かせない。

 5%分の消費増税で、社会保障の給付は約2.7兆円増やす方針だ。高齢者の増加に伴い、医療や介護に多くの資金が投じられるが、子育て支援も年間予算を7千億円増やし、制度を大きく変える。

 子育て世代では、夫婦2人分の収入がないと生活が成り立たない世帯が増えている。働きながら子どもを育てる態勢づくりが遅れると、社会保障の支え手が立ちゆかなくなる。

 現行制度は、厳しい財政のもと、保育所を十分に増やせず待機児童が解消されずにいる。そこで、いま検討中の「子ども・子育て新システム」では、短時間保育やベビーシッターなど、多様なサービスへも公的支援をひろげる。基準を満たせば、株式会社やNPOの参入も認め、サービスの供給を増やす。

 89年の消費税導入、97年の消費税率引き上げの際には、高齢者福祉の「ゴールドプラン」を打ち出した。今回は「子育てを中心にした現役世代の支援」をアピールしていくべきだろう。

 それには、新システムで国や自治体、企業がどう費用を負担していくのか、肝心な部分の詰めを急がなければならない。

 働き手の支援という点では、パートなどの非正規労働者を正社員と同じ年金や医療保険に加入させることも重要だ。

 さらに、自公政権時代に物価スライドの適用を見送り、年金の支給額が2.5%分、多くなっているのを本来の水準に引き下げる。現役世代が将来受け取る年金の水準を維持するために避けては通れないことだ。

 ただ、パートの社会保険料の企業負担を増やすことには外食や流通業界から、年金の引き下げには高齢者から強い抵抗がある。次の選挙ではなく、日本の将来を考えて決められるか。

 今年6月末に政府が決めた一体改革案は、あらゆる課題を網羅し、優先順位が分からなくなった。素案では、現役支援のために、ぜひとも実現すべき改革を明確にする。

 そのうえで、中長期的に取り組む課題を整理し、社会保障の将来像をわかりやすく示してほしい。

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スマートメーター―電力会社の都合許すな

 電力不足に対応するため、家庭での節電につとめたい。

 しかし、決定的に足りないものがある。電気の消費量をこまめに把握できるメーターだ。

 世界では、すでにデジタル式で双方向の通信機能をそなえた「スマート(賢い)メーター」の普及が進んでいる。欧州連合(EU)は2020年までに域内の8割をスマートメーター化する計画だ。

 国内の電気メーターは約8千万台。工場などの大口需要家向けは30分ごとに計測できるが、電力需要の3分の1を占める家庭用はほとんどが機械式で、1カ月分の積算しかできない。家庭向けのスマートメーターはまだ100万台程度だ。

 スマートメーターになれば、需要側、供給側それぞれで電力を管理することが可能になる。ピーク時の料金を高くするなど料金体系が多様化できる。

 通信回線で家電と結べば、電気代が安い時間帯を選んでエアコンを動かすなど、もっと賢い節電を考えられる。

 近い将来、電気自動車を蓄電池として利用する際にも不可欠な機器だ。新しい需要やビジネスの機会が増えれば、経済の活性化も期待できる。

 ところが、電力会社は家庭向け電力の自由化を促しかねないとの警戒もあって、スマートメーターの普及に消極的だった。一部で試験は始めたが、検針や電気のオンオフの遠隔作業といった機能に限定しがちだ。

 何より、会社ごとにメーターの形状も仕様もバラバラで、新規参入の電力事業者は使えないようになっている。メーカー側も量産効果が出ず、1台当たりの価格は、1万円前後の海外に比べ2〜3倍とされる。

 だが、原発事故で電力事情は大きく変わった。今までのやり方では困る。

 政府は今後5年間で電力需要の8割をスマートメーターで測れるよう、震災後に普及目標を立て直した。電機メーカーやガス会社などもまじえ、メーターと家庭の機器との接続やデータ管理規格の統一・標準化に向けた作業を始めている。

 普及はメーターを所有する電力会社が責任を負うが、場合によっては、買い取り制やリース制を採り入れ、家庭側が費用を一部負担すればより高機能のメーターを早く取り付けられるようにするのも手だ。

 消費者側の選択肢を増やし、省エネを含め、多様な電力をうまく使いこなす社会を築く。そのためにも、電力会社側の都合やわがままを許さず、普及を急がなければならない。

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