HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47398 Content-Type: text/html ETag: "f202a-1288-4b3e797c7834c" Expires: Tue, 13 Dec 2011 02:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 13 Dec 2011 02:21:13 GMT Connection: close 12月13日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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12月13日付 編集手帳

 多重債務の泥沼に首まで漬かったサラリーマンがいる。主婦がいる。職を失い、家庭も壊れた。互いに見ず知らずの彼らが大衆演劇の一座を旗揚げし、借金を返済しながら新しい人生を探していく…◆市川森一さん脚本の『(さび)しいのはお前だけじゃない』(TBS、1982年)である。奇抜な設定のなかに視聴者を遊ばせ、人間の営みがもつ(かな)しさ、たくましさを透かし彫りに描き出す。市川ドラマの真骨頂だろう◆『港町純情シネマ』や『紙コップのコーヒー』など“大人の童話”とも評された数々の秀作を残し、市川さんが70歳で死去した◆歳末恒例「今年の漢字」は〈絆〉だという。市川さんであれば、絆という言葉を用いることなく、これぞ絆のドラマを書いてくれただろうに――と、円熟期の急逝が惜しまれてならない◆不良のレッテルを貼られて故郷を去る失意の少女に、修道女がシャンソンの一節を朗読して聴かせたのは『グッバイ・ミュージック・メイト』(フジ、1980年)だった。〈幸福はいつも苦しみのあとに来る。友よ、心配するな。私は戻って来る…〉。励ましの遺言として胸に刻む。

2011年12月13日01時25分  読売新聞)

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