HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49423 Content-Type: text/html ETag: "a23ce-164b-4b3ab47de3eb1" Expires: Fri, 09 Dec 2011 22:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 09 Dec 2011 22:21:43 GMT Connection: close 東電火力売却 電力の安定供給が大前提だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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東電火力売却 電力の安定供給が大前提だ(12月10日付・読売社説)

 経営効率化と電力安定供給の両立ができるか。先行きは不透明だ。

 東京電力と政府の原子力損害賠償支援機構は9日、11月にまとめた「緊急特別事業計画」を具体化するための、アクションプラン(行動計画)を決めた。

 東電が、福島第一原子力発電所の事故による賠償や廃炉にかかる費用を確保する方策である。今後10年の経費削減額を約1000億円上積みした点は前進だ。

 だが、懸念もある。火力発電所の売却や新規着工の見送りを、計画に盛り込んでいることだ。

 主力電源である火力発電の縮小は、電力の供給体制を左右する問題である。リストラの一環として、安易に実施すべきではない。

 政府と東電は、中長期的な電源構成や経営形態のあり方も含め、総合的に検討してもらいたい。

 計画によると、東電は代替電源として必要な電力を、発電設備を持つ一般企業が運営する電力卸売事業者(IPP)から、入札を通じて購入する方針という。

 東電は1996年から99年にかけて、IPPから入札で電力を購入した経験がある。この時は自前で発電するより約35%安く電気を調達できた。上手に活用すれば、コスト削減に役立つだろう。

 東電がIPPからの調達を増やせば、他産業から電力事業への参入が促され、競争による電力料金の低下など利用者メリットが出ることも期待される。

 ただ、最も優先すべきなのは電力の安定供給だ。

 福島の原発事故の影響で、定期点検を終えた原発を再稼働できないために、電力不足が一段と深刻になっている。

 東電が多くの火力発電所を手放して供給能力を低下させた場合、電力会社には課せられている安定供給義務を負わないIPPから、必要な時に十分な電力を調達できるのか、保証はない。

 原発の再稼働すら実現のメドが立たないうちに、火力発電の売却方針を決めるのは早計だ。

 老朽化した火力発電所には、買い手がつかない恐れが強い。だからといって発電効率の良い最新施設を売り急げば、東電の収益が悪化して、被災者への賠償支払いなどにも支障をきたしかねない。

 東電は原発事故の早期収束に加えて、膨大な時間と費用のかかる除染や廃炉など、重い経営課題を抱えている。

 東電の窮状を考えれば、政府は抜本的な経営安定化策を、真剣に検討すべきだろう。

2011年12月10日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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