HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 09 Dec 2011 22:21:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:米パキスタン 対テロ協調を忍耐強く:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

米パキスタン 対テロ協調を忍耐強く

 パキスタンは自国兵士に対する北大西洋条約機構(NATO)軍の誤爆をきっかけに、戦略を主導する米国への不信を強めている。両国関係の悪化はテロ組織を利するのでないかと懸念される。

 アフガニスタンに駐留するNATO軍ヘリが先月下旬、越境してパキスタン北西部の検問所を誤爆し同国兵士二十四人が死亡した。

 パキスタン政府は対抗措置を取り、アフガンに向かうNATO軍の補給ルートを遮断する一方、米国に対しては自国内基地からの米軍機撤退を要求した。米側は遺憾の意を表明したが、カル外相は「パキスタンはこれまで犠牲を払いすぎたのではないかと、自問自答している」と不満を示した。

 米パ関係は今年、悪化の一途をたどった。五月に米特殊部隊がパキスタン国内に潜伏していた国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者を殺害し、「主権侵害だ」と強い反発を受けた。先月にはザルダリ大統領が軍の政治介入を抑えてほしいと米軍トップに要請したとの情報が流れた。

 米国はパキスタンに巨額の経済援助をして、アフガンの反政府勢力タリバンのテロ抑止で共闘する戦略を続けるが、反米感情はこれまでになく高まっている。タリバンで多数を占めるパシュトゥン人はパキスタン側にも多く居住し、抵抗を支える土壌がある。

 誤爆事件を教訓に米軍、NATO軍は国境付近での軍事作戦について、パキスタン軍への情報伝達をいま以上に深める必要がある。国境地帯の貧しい村への経済支援を拡大すれば、反米感情を和らげる効果が期待できよう。

 パキスタンの国是は、宗教と領土をめぐり三度戦火を交えたインドに対抗して体制を維持することだ。しかし政争が激しい上、軍の発言力が強く核兵器も保有する。不安定な状態が続けばテロが繰り返され、核物質や関連技術が流出する恐れさえある。

 影響は南西アジア全体に広がっている。米国は中国抑止のためにインドに接近しているが、これに対抗するようにパキスタンは中国との経済、軍事面での協力を拡大する動きを見せる。

 米パ両国の不信は根強く、協力か破局かの瀬戸際まで来ているという悲観論さえある。だが、対テロ政策とアフガン安定化のためには、両国が最も重要な役割を担う。この十年間続けてきた協力を崩してはならない。関係修復を忍耐強く進めるべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo