冬は、少し人恋しくなる季節だ。多分、気温に関係があるだろう。寂しさは寒さをいや増す。そしてまた寒さは寂しさをいや増す▼♪恋人よ そばにいて こごえる私の そばにいてよ−とは、五輪真弓さんのヒット曲『恋人よ』の一節。これとても、去りゆく恋人を思う寂しさを、寒い季節が増幅した結果の<こごえる私>だろう▼さて、先ごろ国立社会保障・人口問題研究所が発表した調査結果には少々、驚かされた。未婚の十八〜三十四歳の七千人以上を対象に、結婚観などを聞いたのだが、男性のほぼ六割、女性のほぼ半分が「交際している異性はいない」と回答している▼どちらも過去最多だが、驚いたのはその数字ではなく、そのうち男女とも半分近くが「特に異性との交際は望んでいない」と答えていること。男女の全体のそれぞれ三割近く、二割強にも当たる▼「結婚離れ」どころか「恋愛離れ」が始まっているのかしら。西洋には<男は火、女は麻屑(あさくず)、悪魔が風を吹きつける>という恋愛の“定義”があるそうだが、火が消え麻屑も湿っているのでは悪魔も無力だ▼ただ、五年に一度のこの調査が行われたのは昨年。大震災を経た今なら数字は違ったろう。おまけに日本経済の厳しさも“冬”の様相。少なくとも昨年までより、人がそばにいてくれる誰かを求める気持ちは、ずっと強まっている気がする。