HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49093 Content-Type: text/html ETag: "39200f-1669-4b34682713259" Expires: Mon, 05 Dec 2011 16:12:19 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 05 Dec 2011 16:12:19 GMT Connection: close 原子力安全庁 新体制へ円滑な移行を目指せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

原子力安全庁 新体制へ円滑な移行を目指せ(12月5日付・読売社説)

 政府が、新たに設置する「原子力安全庁」(仮称)の組織と機能について骨格をまとめた。

 環境省の外局として来年4月に発足させ、複数の府省に分散していた規制関連の業務をほぼ集約する。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原子力安全行政に対する信頼は失墜した。

 事故はいつ収まるのか。被災者の帰還はどうなるのか。被害の補償は――。見通しが不透明な中での組織移行だ。山積した課題の解決に最善を尽くせるよう、新体制へ円滑に移行してもらいたい。

 原発の安全行政は、これまで主に経済産業省の原子力安全・保安院と、内閣府の原子力安全委員会が担ってきた。

 行政官を主体とする保安院と、学者がトップの安全委で二重監視するのが強みとされたが、今回の事故は予見できなかった。事故後も住民避難や放出された放射能の監視が適切でなかった。

 原発を推進する経産省のもとに保安院があり、規制と推進が同居していたことが一因とされた。安全委も力量不足だった。

 今後は保安院、安全委とも安全庁に統合される。文部科学省が担ってきた放射線の安全管理や、所管が定まらなかった原発事故被災者の健康管理、事故時の危機管理や初動対応も安全庁が担う。

 政府は、安全庁設置法案や関連する規制法改正案を来年1月にまとめ、国会に提出する方針だ。

 その際、大事なのは従来の「安全神話」から脱却し、最悪の事態を想定した、実効性ある法案づくりを目指すことである。

 現行の規制法には、原発の安全の根幹に関わる事実が明らかになっても、政府が電力会社に改良などを命じる権限はない。

 破局的な事故は起きないとの前提のため、危機状況下の規制当局や自治体、電力会社の役割分担や責任も明確には定めていない。

 今回のような事故の再発防止を最重要の使命とすべきだ。

 事故収束など、今後も長期にわたり、原発と関わる人材が必要になる。十分に確保できるのか心配だ。発足する安全庁の職員を募集しても応募がないという。

 大学の原子力専門教育も縮小が懸念されている。逆風の強い分野へ志望者をどう呼び寄せるか。

 政府は、安全庁に「国際原子力安全研修院」(仮称)を設置するなど、独自の人材養成も検討しているが、具体化はこれからだ。

 人材の育成、確保のための検討を、政府として急ぎたい。

2011年12月5日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です