HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 05 Dec 2011 22:21:40 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:脱法「ハーブ」 命の危険もあるんだよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

脱法「ハーブ」 命の危険もあるんだよ

 麻薬のような幻覚作用があり、若者に「ハーブ」と呼ばれる脱法ドラッグの乱用が全国で広がっている。法の規制は後手に回っているが、危険な薬物だ。安易に手を出すと命の危険もあるんだよ。

 若者が「ハーブ」と呼ぶのは、乾燥させた植物に、主に大麻(マリフアナ)の成分に似た合成化学物質をスプレーしたものだ。数年前に欧州から輸入され始めた。

 ハーブという軽い語感や、手ごろな値段、店頭やネット販売で気軽に購入できるため急速にまん延した。だが、脱法ドラッグは覚せい剤や大麻など取り締まり対象の薬物の「入門薬物」といわれる。危険な薬物であり、まん延は犯罪の温床ともなりかねない。

 健康への悪影響も深刻だ。依存症になると、病気からの回復に時間がかかる。日常生活に支障をきたし、就労も困難になる。軽く考えてはいけない。使用者の早期発見や早期治療の強化も大切だ。

 脱法ドラッグが出回り始めたのは一九九〇年代後半。快感があり違法ではないといって販売され、二〇〇〇年代にインターネットの普及で若者を中心に乱用が広がった。口からの摂取や、鼻から吸うタイプなど種類も多様だ。

 だが、大麻の急性症状には狭心症や心筋梗塞があり、ひどい場合は突然死に至る。名古屋市では今年、少なくとも三十人以上が救急搬送されている。依存症に詳しい市内の医師は「呼吸停止状態で運び込まれたのは、合成ハーブを無害と誤解して大量使用した結果ではないか」と言う。

 人体への摂取を目的として販売すれば薬事法違反となるため、大半の店は「お香」などとして販売している。国は〇七年の同法改正を契機に、危険な六十八物質を「指定薬物」にした。だが、売る側は指定物質を含む商品をすぐに撤去し成分を微妙に変えた商品を作って法の網を逃れようとする。

 警察は「指定薬物でなければ、取り締まりの法的根拠がない」という。こうした現状はいたちごっこであり、地道に指定を続けるという国の対応には限界があろう。100%近くが輸入品であることから、国内流入の水際阻止の手だての検討も必要だ。

 東京都は〇五年、全国に先駆けて「脱法ドラッグ条例」を作った。法の規制はなくとも乱用の危険がある薬物を「知事指定薬物」として取り締まる。国の対応よりスピーディーだ。他の自治体も参考にすべき取り組みだろう。

 

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