羽田空港に離着陸する飛行機がとても近くに見える。東京ドーム二・三個分の埋め立て地に三万八千枚のパネル。八月に運転が始まった浮島太陽光発電所(川崎市)だ▼<昨日の発電電力量は26295kwh 一般家庭2791軒が一日に使用する電力量に相当><二酸化炭素削減効果 杉の木721本が、1年間に吸収する二酸化炭素>。隣にある市のPR施設で発電実績が映し出されている▼川崎市と東京電力の共同事業だ。今月稼働する扇島太陽光発電所を合わせると発電量は約二万キロワット。五千九百世帯の電力量を担う国内最大級のメガソーラー発電所だ▼窒素酸化物の排出を抑え世界最高水準の熱効率を達成した天然ガス発電所、国内最大級のバイオマス発電所、大型リチウムイオン蓄電池の量産工場…。公害の街の印象が強かった川崎市は今、エネルギーシフトのモデル地域のようだ▼再生可能エネルギーはコスト面で課題はある。しかし、普及するに従ってコストは確実に下がる。それは携帯電話の例を見ても明らかだろう▼東京都は来年度から都庁舎で使う電力の三割を東京ガスに切り替える。「脱原発」を宣言した城南信用金庫も自然エネルギーや民間の余剰電力を購入、販売する「エネット」との契約に変更する。電力会社がすべてを独占していた時代は終わろうとしている。この流れはもう止まらない。