HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49120 Content-Type: text/html ETag: "cfb04-1686-4b30a224fba39" Expires: Thu, 01 Dec 2011 21:21:23 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 01 Dec 2011 21:21:23 GMT Connection: close 日米欧資金供給 対症療法だけでは不十分だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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日米欧資金供給 対症療法だけでは不十分だ(12月2日付・読売社説)

 欧州発の金融危機の拡大を防ぐため、主要国の中央銀行が動いた。

 日本銀行と米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など日米欧の主要6中央銀行が、協調してドル資金の供給を拡大すると発表した。

 中央銀行が民間銀行に融資する金利を0・5%引き下げ、資金が潤沢に行き渡るようにする。

 欧州の財政危機で、信用不安を抱える欧米の金融機関は市場からの資金調達が難しい状況だ。このままでは、3年前のリーマン・ショックの再来になりかねない。

 危機の連鎖を食い止めようと、各国の中央銀行が、金融機関の資金繰りを支えるドル資金の安定供給で協調したのは妥当だ。

 発表を受けて、欧米の株価は急騰し、東京やアジアの市場も軒並み上昇した。機動的な対応を好感したのだろう。

 とはいえ、日銀の白川方明総裁が記者会見で「流動性(資金)供給だけでは解決しない。あくまでも時間を買う政策だ」と述べたように、今回の措置は当面の難局を切り抜ける対症療法である。

 「買った時間」を有効活用し、危機の根源である欧州債務問題を解決する必要がある。

 ギリシャに始まった危機はイタリアなどに飛び火して国債が売られ、金利は急上昇している。

 危機収束のカギを握る独仏両国も盤石ではない。

 ドイツ国債の入札では、募集額に応募額が達しない「札割れ」が起き、市場に動揺が広がった。最上位の信用度を誇るフランス国債にも、格下げ観測が出ている。

 欧米の銀行は、欧州各国の国債を大量に保有している。財政再建が遅れて国債が暴落すれば、金融機関の経営は悪化し、危機が世界に広がる恐れがある。

 欧州経済の混迷は、世界経済を牽引(けんいん)してきた新興国の成長にも影を落とし始めた。

 欧州向け輸出が減速している中国やタイが相次いで金融緩和に転じたことは、欧州危機が順調なアジア経済も揺さぶり始めたことを示している。

 欧州はまず、震源地であるギリシャへの支援実施を急ぎ、危機の波及を食い止める責任がある。

 ところが、支援策の要である欧州金融安定基金(EFSF)の拡充は、当初予定した1兆ユーロ(104兆円)を下回る見通しだ。危機収束に力不足が懸念される。

 独仏両国を中心に欧州は結束を固め、債務問題の解決に全力を挙げなければならない。

2011年12月2日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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