二〇一三年春卒業予定の大学三年生の就職活動がスタートした。東日本大震災や円高など経済環境は厳しいが、焦らずに働く場所を見つけてほしい。企業側も即戦力ばかりを求めるべきではない。
今年の大学三年生の就活は例年よりも二カ月遅れで始まった。採用活動の早期化防止と学生の学業専念−が理由だ。経団連が採用活動の指針となる「倫理憲章」を見直した結果である。
学生に対する個別の会社説明会はこれから本格化するが、選考活動自体は四月以降と変わらない。多くの学生にとっては短期決戦を余儀なくされる。
学生の活動も大変だ。事前にエントリーシートを作成してインターネットで登録する。その後会社説明会に参加したり職場訪問などが実現すればいいが、門前払いのケースも多々ある。
ある公共職業安定所(ハローワーク)幹部職員は「応募手続きが簡素化されることはいいが、自分自身の客観的評価ができないまま失敗を繰り返す恐れがある」とネット就活の弱点を指摘する。
一方、企業の採用姿勢はバブル崩壊後、厳しさを増した。
協調性や専門知識、就業体験(インターンシップ)の有無などをもとに学生を選抜している。海外留学経験者や外国人の採用枠を設定している企業もある。
こんな“超氷河期”に苦しんだのは今春の卒業生だろう。一〇年度卒業の大学生約五十五万人のうち、進学をせず正社員にもならなかった「進路未定」者は十万七千人強と全体の約二割を占めた。
また現四年生の就職内定率は十月一日現在で59・9%。過去最低だった前年同期を上回ったが過去二番目の低水準である。国公立は67・4%と高く、私立は57・4%と低い。高校生の内定率は九月末現在で微増の41・5%である。
日本企業はこれまで何度も不況や国際化などの難局に直面し、そのつど乗り越えてきた。
強さの源泉は企業内に蓄積された人的資源の厚みである。だからこそ若者の採用拡大に取り組んでほしい。社員構成のゆがみを防ぎ、団塊世代の第二の大量退職にも備える必要がある。
まだ内定がない大学生に対しては中堅・中小企業に目を向けた就活を勧めたい。最後の砦(とりで)として全国五十七のハローワークに「新卒応援」コーナーがあり専門のジョブサポーターがいる。卒業後三年以内の既卒者だけでなくフリーターも積極的に利用してほしい。
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