所によって同じものでも呼び名が違う、という時、よく持ち出される古い言葉に、<難波(なにわ)の蘆(あし)は伊勢の浜荻(はまおぎ)>がある▼仮に、その植物の呼称統一が決まり、それを検討する委員会が設けられたとしよう。問題は委員の人選だが、もし三重の人を多く選べば<浜荻>に、逆に大阪人を多くすれば<蘆>になろう。ことほど左様、「どんな結論になるか」は「誰が決めるか」で決まってしまうところがある▼さて、前首相が辞任の間際、粘りに粘って成立にこぎつけたのが再生可能エネルギー促進法だ。電力会社は来夏から、太陽光や風力、小水力などで発電された電力を一定期間、一定価格で買い取るよう義務付けられる▼その価格を検討するのが、「調達価格等算定委員会」だが、政府の示した人事案に再生エネの専門家などから異論が出ている。与野党の国会議員らによる「エネルギーシフト勉強会」も異議を提起したそうだ(毎日)▼聞けば、五人のうち三人が再生エネに消極的な人だとか。そんな顔ぶれでは、買い取り価格が安く設定され、再生エネ促進が覚束(おぼつか)なくなると危惧しているわけだ。確かに、それでは、そもそも法の意味がない▼先に挙げたフレーズは、こうも言い換えられよう。「誰に決めさせるか」で「どんな結論にしたいか」が見えてくる、と。このままでは、首相の再生エネ拡大への決意が疑われる。