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春に新学期が始まる日本の学校はいいと、日本語で創作する米国人作家のリービ英雄さんが他紙に寄せていた。秋に始まる米国では、自然の色彩が薄れていく中での授業になる。それより日本のように、自然が一日一日カラフルに開いてくる季節の授業は気持ちが良い、と▼それを思うと、今年の大学3年は少し可哀想だ。3年生に向けた企業の広報活動が、去年までより2カ月遅れてきのう解禁され、就職活動が本格スタートした。寒さに向かう年の瀬、木枯らしに吹かれる中で、オフィス街歩きが始まった▼その後輩たちの足音を背中に聞いて、2度目の冬に入る人もいる。来春卒業予定の大学生の内定は10月1日時点で6割にとどまる。「時代のせいにしたくない」と頑張る学生をテレビで見た。会社員になることが、いま、かくも難しい▼それにつけても就活は長く、学ぶ時間を奪う。「人生をかけた椅子取り」に失敗できない強迫観念に生き方まで縮こまる。内向きで覇気がないと若者を嘆くより、これがまず問題だ▼就活生のプロ化が進んでいる、と作家の石田衣良さんが小紙で語っていた。自分がどんな人間で何をしたいのかをはっきりさせてアピールできるプロに、みんながなろうとしていると。未完の原石を磨く力を、企業はなくしたのだろうか▼ともあれ、ここは熱いエールを送りたい。〈北風にかたまりてゆくリクルートみな黒靴にひかり持たせて〉金田美羽。ひかりが失せぬよう、若さが翳(かげ)らないように願って。