HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49117 Content-Type: text/html ETag: "cf805-1667-4b2e1ebda61e6" Expires: Wed, 30 Nov 2011 01:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 30 Nov 2011 01:21:42 GMT Connection: close 自動車課税 代替財源示さぬ廃止は拙速だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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自動車課税 代替財源示さぬ廃止は拙速だ(11月30日付・読売社説)

 政府が12月上旬に決定する2012年度税制改正で、自動車課税が焦点となっている。

 自動車業界は、税負担の重さが販売不振につながっているとして、取得税と重量税の撤廃を求め、民主党税制調査会も2税の廃止や抜本的見直しを政府に重点要望した。

 これに対し、国や地方の大幅な税収減を警戒する財務省や総務省には反対論が根強い。

 財源の確保、環境に優しいエコカーの普及などを総合的に判断する必要がある。拙速に廃止を決定することは避けるべきだろう。

 取得税は、車の購入時に都道府県に納める地方税で、重量税は車体の重さに応じて車検時などに支払う国税だ。1年間の税収は合わせて約9000億円にのぼる。

 最大の問題は、取得税と重量税の廃止で生じる税収不足の穴埋めについて、民主党が代替財源案を何も示していないことだ。

 民主党は、2税を廃止すれば、自動車保有台数の多い地方の家計負担が軽減されると主張するが、税収の半分近くは市町村の財源に組み込まれている。むしろ、廃止によって財政に大きなしわ寄せを受けるのは地方である。

 深刻な財政難の下、巨額の財源手当ても不透明なままに取得税と重量税の廃止を求める民主党の姿勢は無責任だ。自動車業界などの意向に配慮するだけの大衆迎合的な発想と言わざるを得ない。

 国内の新車販売台数はピーク時に比べて半減しており、業界の危機感も理解できる。だが、市場低迷への対処として、2税廃止を求めるだけでいいのだろうか。

 必要なのは、消費税率の引き上げを含む抜本的な税制改革の中で、自動車課税全体の将来像を検討していくことだ。

 取得税と重量税は、もともと高度成長期の道路整備に活用された財源だった。09年度に道路特定財源が廃止され、課税の必要性が薄れたとの指摘がある。

 車の購入時には取得税、消費税などがかかり、その後は重量税と自動車税を定期的に支払うことになる。こうした複雑な課税を簡素化することも必要だろう。

 環境性能に優れた車への買い替えを促すような仕組みにすることも欠かせない。政府が09年度から実施しているエコカー減税は、ハイブリッド車などの普及を加速させ、減税対象車が乗用車販売の8割に達したのは大きな実績だ。

 12年度改正ではまず、来年4月末で期限切れとなるエコカー減税の延長を検討してはどうか。

2011年11月30日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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