HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49157 Content-Type: text/html ETag: "ae488-1651-4b2e1ebd7bef3" Expires: Wed, 30 Nov 2011 02:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 30 Nov 2011 02:21:37 GMT Connection: close 二重ローン対策 利用しやすい制度に仕上げよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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二重ローン対策 利用しやすい制度に仕上げよ(11月30日付・読売社説)

 東日本大震災で被災した企業の多くが、震災前の借金を抱えて事業再建に苦しんでいる。

 「二重ローン」の解消に動き出したのは前進だ。

 自民、公明など野党が共同提案した「東日本大震災事業者再生支援機構法」が成立し、支援主体となる再生支援機構が来年3月にも業務を開始する。

 津波に流された工場や店舗を再建したくても、もともとの借金があり、資金を借りられないケースが少なくない。地域経済復活の足かせにもなっている。

 民主党が自公両党と折り合い、救済策をまとめた意義は大きい。政府は準備を加速させ、支援の開始を急いでもらいたい。

 新たな対策では、国が設立する支援機構が、被災企業に融資した金融機関から、ローン債権を買い取る。機構は被災者の返済を最長15年猶予する仕組みだ。

 旧ローンの返済凍結で、企業は新規融資を受けやすくなる。中小企業のほか、農林水産業者や医療法人なども対象とし、機構は運転資金のつなぎ融資など、幅広い手法で再建を支援する。

 支援に使う約5000億円は、第4次補正予算案で手当てする方向だ。着実に編成・成立させることが重要である。

 肝心なのは、使いやすい制度に仕上げ、多くの企業救済を実現させることだ。支援条件や債権買い取り価格の設定がカギとなる。

 基準が厳格で買い取り価格が安すぎると、金融機関が債権譲渡に応じず、利用は進むまい。

 逆に甘すぎると、将来返済が滞り、2次損失で国民負担が膨らみかねないジレンマがある。

 事業再生の専門家らの知恵を生かし、実現性の高い再建計画を立てれば、買い取り価格は上がり、延滞も減るだろう。地元金融機関も再建に協力してほしい。

 与野党協議が遅れたことから、政府は各県に官民出資の「産業復興機構」を作る、別の二重ローン対策を先行導入した。

 岩手県では今月から業務を開始し、宮城、福島、茨城の3県は機構設立を準備中という。ほぼ同じ制度が併存することになる。

 後発の支援機構は、復興機構による支援が難しいとされる零細業者や、農林漁業者などを中心に扱うとしている。

 二段構えの支援体制に心強い面はあるが、買い取り価格の算定が「二重基準」になると、利用者を混乱させる恐れもある。

 相談窓口の一本化など弊害防止策を講じるべきだ。

2011年11月30日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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