HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49392 Content-Type: text/html ETag: "15dad4-1649-4b2cdd628fa0e" Expires: Tue, 29 Nov 2011 00:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 29 Nov 2011 00:21:43 GMT Connection: close エジプト情勢 公正な選挙が民主化の試金石 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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エジプト情勢 公正な選挙が民主化の試金石(11月29日付・読売社説)

 エジプトで、ムバラク政権崩壊後、初の国政選挙となる人民議会(国会下院)選が始まった。

 来年1月まで地方ごとに3回に分けて実施される。その後、上院選、大統領選が予定されている。

 一連の選挙を着実に実施することが、軍による暫定統治から民政へと移行するために不可欠だ。中東・北アフリカの大国エジプトが民主化の道を歩むか否かは、地域全体に影響を及ぼそう。

 人民議会選には、社会の混乱が影を落としている。11月に入り、軍統治の即時終結を求めるデモや集会が続き、治安部隊との衝突で40人以上の死者が出た。

 新議会成立後に起草される新憲法について、軍が公然と注文をつけたことが背景にある。旧政権に引き続き、軍予算に国会の承認は不要とすることなどを求めたため、国民の反発が強まった。

 軍が、大統領選の来年6月までの実施を約束せざるを得なくなったのも、これ以上、民意を無視できないとの判断からだろう。

 軍を批判する若者らは、軍統治下での選挙自体に拒否感を示している。軍は、一連の選挙を公正に実施することで国民の理解を得て、その後の民主化に向けた改革に道筋をつける必要がある。

 政治・社会の混乱は、観光収入の落ち込みや株価下落など経済に深刻な影響を与えている。選挙によって安定した政権を樹立することが急務である。

 人民議会選では、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が設立した政党「自由公正党」が多数の議席を獲得し、世俗派諸政党がこれに続くと予想されている。

 ムスリム同胞団は、ムバラク政権下では非合法だったが、慈善や医療などの活動で、国民の間に根を張ってきた。政変による自由化で、政党作りが可能になった。

 自由公正党を柱とする政権が誕生した場合、イスラム主義を現実政治にどう反映させるのか。前政権下でイスラム勢力と敵対していた軍と“和解”はできるのか。難題は山積している。

 「アラブの春」と呼ばれる変革で、独裁体制が次々と倒れ、それぞれの国が民主化への道を模索している。カダフィ体制が崩壊したリビアも、制憲議会選に向けて動き出した。

 独裁者を倒した後は、いかに困難であれ、選挙を通じた民主化を進めていく以外にはない。

 中東地域に民主化が根付くのか。エジプト人民議会選は一つの試金石となろう。

2011年11月29日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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