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11月29日付 編集手帳

 随筆家の森田たまさんが大阪の街で横断歩道を渡ろうとすると、和服の袖が引きつって動けない。気がつくと、二人の中年婦人がたまさんの袖を引っ張り、柄や素材をあれこれ品評していた◆たまさんから聞いた話として、三島由紀夫が随筆集『裸体と衣裳(いしょう)』(新潮文庫)に書いている。そういう人ばかりでもなかろうが、物怖(ものお)じしない人懐こさは大阪人の愛すべき気質だろう◆ときに袖を引っ張り、政策の柄と素材を子細に品評する。府知事選、市長選の大阪ダブル選挙で橋下徹氏率いる地域政党・大阪維新の会に“進め”の青信号を(とも)した府民、市民にとって、横断歩道の中年婦人はこれからのお手本かも知れない◆橋下氏の行動力に有権者は改革の望みを託した。それはいいとしても、「大阪都構想」を含めた大阪再生の具体像はまだ示されていない。当選した以上は渡りたい道を渡る、文句は言わせぬ…白紙委任状を手にしたと勘違いしかねない危うさも残る◆「袖振る」は愛情表現のしぐさであり、「袖を絞る」は悲しんで泣くことを言う。袖もいろいろ、有権者は政策の柄と素材を吟味する目を忘れまい。

2011年11月29日01時08分  読売新聞)

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