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大阪人の気質をひとことで表すなら、それは合理精神だという。たとえば江戸っ子は初鰹(はつがつお)のような、値の張る初物にうつつを抜かす。だが浪速では、旬のものが出盛ったときに安く賞味するのを良しとした。芝居ひとつにしても、浪速は理づめに筋ができていたという▼いわば東京の情緒に対する大阪の合理だが、さて、その気質で説明がつくかどうか。大阪の市長と府知事のダブル選挙を、「大阪維新の会」の橋下徹氏と松井一郎氏のコンビが制した。既成政党による「包囲網」をものともしない勝利だった▼もっとも、タレント議員や知事で知られる土地柄である。合理などは古い話で、いまや「ノリと面白さ」が第一ともされる。大阪秋の陣が、政策論争よりも、橋下氏への「好き、嫌い」で人気投票めいたのは否めない▼とはいえ、しょせん選挙のツボは「この人にやらせてみよう」と思われるか否か。結果は、中央の政治の体たらくへの痛烈なパンチだろう。閉塞(へいそく)感と政治不信の世に英雄待望論が湧くのは不思議ではない▼課題を打ち出して「白黒をつける」のが橋下流と聞く。「独裁」は必要とも語り、多数決なら文句あるまいと言うが、多数決は手続きであり結果の正しさは保証しない。大阪は一種のあやうさを承知で、現状打破の可能性を買ったようだ▼小泉元首相への熱狂的な支持は、どうやら「不毛な興奮」だったと、後になって多くが気づいた。似ているとされる橋下流の行方はいかに。全国の目がそこに集まる。