HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49514 Content-Type: text/html ETag: "b00ee-16c6-4b2a5af0d97e1" Expires: Sun, 27 Nov 2011 00:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 27 Nov 2011 00:21:05 GMT Connection: close 欧米経済混乱 余りにも遅い危機封じ込め策 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

欧米経済混乱 余りにも遅い危機封じ込め策(11月27日付・読売社説)

 欧州危機に収束のメドがたたず、米国では、財政赤字削減を巡る与野党協議が決裂した。

 欧米経済の混乱が連鎖しかねない深刻な事態だ。危機の封じ込めへ、欧米各国は迅速に行動する必要がある。

 欧米、アジアなど世界の株式市場の株価は先週、軒並み下落した。東京市場の株価は、約2年8か月ぶりに8200円を割った。外国為替市場ではユーロが下落し、1ユーロ=102円台を付けた。

 市場を動揺させた主因は、欧州の危機対策が遅く、独仏両国の足並みが乱れている問題だ。

 ギリシャ危機が飛び火したイタリアでは、政権が交代したが、市場はまだ、新政権の財政再建策の実行に懐疑的とみられる。

 このため、イタリア10年物国債の利回りは再び、自力再建が危ういとされる7%台に上昇した。スペインやフランスなどの国債利回りも上昇している。

 衝撃を与えたのが、欧州で最も信用力があるドイツの10年物国債の入札で、応札額が募集額に達しない「札割れ」となったことだ。機関投資家が敬遠したようだ。

 ドイツは危機を収束する「最後の(とりで)」とされる。信用不安の広がりを警戒しなければなるまい。

 ポルトガルとハンガリーなどの国債の格付けも下げられた。

 欧州はまず、震源地ギリシャの支援策を実行し、危機の波及をイタリアで食い止めるべきだ。域内危機国を支援する欧州金融安定基金(EFSF)を拡充する具体策の決定が遅すぎる。

 独仏両国が結束し、対応を急ぐことが市場の安定に不可欠だ。

 欧州連合(EU)は危機を乗り切るため、ユーロ圏17か国が発行するユーロ共通債を提案した。

 通貨はユーロで統一されたが、財政はバラバラだから、共通債を発行して互いに財政を監視する。共通債の狙いはわかる。ただ、こうした改革では、いま足元で燃えさかる危機に対応できない。政策の優先度を見極めるべきだ。

 一方、今後10年間で1・2兆ドル超の財政赤字を削減する具体策を巡って、米国の与野党協議が決裂した点も懸念される。

 富裕層への増税と歳出削減を主張する民主党と、増税反対の共和党が対立したためだ。財政健全化への道は不透明と言えよう。

 来秋の大統領選の駆け引きも絡み、財政運営や政治の混乱が続くと、格付け会社が今夏に続き、米国債を格下げする恐れもある。

 世界経済は綱渡りが続く。早期に安定を図らねばならない。

2011年11月27日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です