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11月25日付 編集手帳

 同世代のライバル古今亭志ん朝さんが先輩を抜いて真打ちに昇進した時、抜かれた一人、立川談志さんが志ん朝さんに迫った。「辞退しろ」◆芸は自分が上という自負だろう。語り伝えによれば志ん朝さんの受け答えがまたいい。「いや、(あに)さん、あたしは実力でみんなを抜いたと思ってる」。(きょう)()と矜持の火花を散らせつつ芸を磨き合った二人も、もういない。談志さんが75歳で死去した◆奔放な発言は相手が“名人”三遊亭円生さんでも変わらない。「師匠ね、師匠は若い頃は売れなくて、いわば最近になって売れてきましたよネ。おれは最初からグワーッと売れてここまで来ている。グラフにすると面積はおれの方がはるかに多いですヨ」(自著より)◆型破りの言動で愛されもし、嫌われもしたが、心底落語を愛した生涯であったのは誰もが認めよう。志の輔、談春、志らく…と、あすを託す逸材を育て、自身も健康の許す限りは晩年まで高座を務めて満場を沸かせた◆〈立川雲黒斎家元(たてかわうんこくさいいえもと)勝手(かって)居士(こじ)〉。生前に自分で決めた戒名の通り、勝手の限りを尽くしつつ、落語に焦がれ死にした人――そんな気がする。

2011年11月25日01時14分  読売新聞)

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