HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 25 Nov 2011 00:21:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:米国の作家シェル・シルヴァスタインによる名作絵本『おおきな…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 米国の作家シェル・シルヴァスタインによる名作絵本『おおきな木』ではないが、人は木に世話になってばかりだ▼夏には木陰を、秋には木の実を与えてくれ、冬には寒風を遮ったりもしてくれる。二酸化炭素を吸ってくれるし、子どもに木登りも教えてくれる。あるいは、その身を差し出し、家や家具や紙になってくれることも▼だが、恩着せがましいこと一つ言わない。詩人田村隆一の『木』が<木は黙っているから好きだ>に始まり<木/ぼくはきみのことが大好きだ>という直截(ちょくせつ)な表現で締めくくられているのを思い出す▼ただ、そこにある、というだけで人に勇気を与えてくれる木もある。「白砂青松」の名勝として知られた岩手県陸前高田市の高田松原で、とてつもない津波に耐え、たった一本だけ残ったあの松▼震災の少し後、現地で遠望したが胸に迫るものがあった。人呼んで、「奇跡の一本松」。約七万本が悉(ことごと)くなぎ倒された中で、一本だけ生き永らえたのだ。人々がそこに特別な意味、決して根絶やしにはならぬ「希望」を見たのは、自然であろう▼どうにも残念だが、その松が立ち枯れの危機に瀕(ひん)している。保存団体などが再生に努めてきたが、根が腐り、回復を望むのは難しい状態だと…。救いは、接ぎ木でその遺伝子を受け継ぐ苗木が育成されていること。命も、そして「希望」も紡がれていこう。

 

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