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11月24日付 編集手帳

 安藤鶴夫の小説『三木助歳時記』(河出文庫)にバクチ必勝の心得に触れたくだりがある。―― 一こころ、二物(にぶつ)三上(さんじょう)()(こん)五力(ごりき)六論(ろくろん)七盗(しちとう)八害(はちがい)◆順に、負けてもいいさ、という心の余裕(一)、豊富な軍資金(二)、上手であること(三)、集中力を切らせぬ根気(四)と、このあたりまではいいとして、次第に物騒になっていく◆腕力(五)、口論で相手を苛立(いらだ)たせる(六)、周囲の目を盗んでのイカサマ(七)、最後は〈相手を切り殺して取るよりほかのことなし〉(八)と、むちゃを言う。必勝の教えとは表向きで、「こんな怖い世界に足を踏み入れなさんな」という戒めかも知れない◆八害は八害でも、会社の信用を著しく害してしまったその人も、“怖い世界”を骨身に徹して知ったはずである。子会社の約106億円をカジノの負け金に充てた大王製紙の前会長(47)が特別背任の疑いで逮捕された。まじめに働く社員たちの生活が、自分の肩にかかっている。イロハのイである経営者の「こころ」を、どこに置き忘れたか◆一こころ、二こころ、三こころ…経営の心得はバクチほど複雑ではない。

2011年11月24日01時28分  読売新聞)

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