HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 22 Nov 2011 03:21:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:殺人罪などで無期懲役の判決を受け、山形刑務所で服役中のオウ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 殺人罪などで無期懲役の判決を受け、山形刑務所で服役中のオウム真理教元幹部と二週間前に会った。麻原彰晃死刑囚の運転手だった古参幹部は、東京拘置所にいたころよりも温和な表情だった▼独房に入っているが、作業ができるようになり、休憩中には雑談することもあるという。人との交流で心が安定しているのかもしれない。仮釈放の期待は抱いていないと語っていた▼十六年を経て終結するオウム裁判への思いを聞くと、「刑事責任の追及だけではなく、なぜあんな事件が起きたのか、掘り下げてほしかった」と率直な答えが返ってきた▼元幹部遠藤誠一被告の上告審で、最高裁第一小法廷はきのう上告を棄却した。死刑が確定するのは十三人目。刑事裁判史でも特筆される事件の裁判が終結する▼なぜ宗教団体が無差別殺人を犯したのか? なぜ優秀な若者たちが教祖に魅了されたのか? 司法は疑問にどこまで答えられただろうか。法廷で時間をかけて元幹部らに自らの体験を語らせたことで、思考を停止させた方が楽に生きられる閉鎖集団の恐ろしさは伝わった。しかしその教訓が次代に伝わっているかといえば心もとない▼オウム事件後、長引く不況で閉塞(へいそく)感が強まり、カルト宗教を育てる土壌はむしろ広がっているという専門家の指摘もある。二十九人の犠牲者のためにも、事件を風化させてはならない。

 

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