HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48953 Content-Type: text/html ETag: "2f5878-1641-4b1c828043eeb" Expires: Tue, 15 Nov 2011 23:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 15 Nov 2011 23:21:41 GMT Connection: close GDPプラス V字回復でも不安は拭えない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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GDPプラス V字回復でも不安は拭えない(11月16日付・読売社説)

 日本経済は東日本大震災による落ち込みから急回復したが、安定成長への道筋は不透明だ。

 7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比1・5%増と、4四半期ぶりにプラス成長となった。これを年率に換算すると、6・0%という高い伸びになる。

 被災した企業が生産を急ピッチで立て直したことにより、輸出が大幅に回復してV字回復を後押しした。自粛ムードが和らぎ、内需の主役である個人消費が堅調だったことも追い風になった。

 ただし急落後の反動という面が強い。持続力には不安が残る。

 今回のGDPでは、公共投資が大きく落ち込んだ。政府は仮設住宅の建設が一段落した影響だと説明するが、仮設に続く本格的な復興が遅れているのは問題だ。

 第3次補正予算案の成立をテコに、被災地における復旧・復興事業を加速させることが、景気回復のために欠かせない。

 しかし、月内に成立しても補正予算の経済効果があらわれるのは年明けになる。

 このため、エコノミストの多くが、10〜12月期は低成長になると予想している。懸念されるのが、歴史的な超円高と、欧米経済悪化の影響である。

 イタリアやギリシャなどの財政危機は、欧州連合(EU)などが収束に努めているが、予断を許さない情勢が続いている。

 海外経済の混乱は、輸出を減少させるだけでなく、円高圧力を強める要因となろう。

 政府・日銀が10月末に円高阻止の為替介入に踏み切った後も、円相場は1ドル=77円台程度の最高値圏で推移している。

 円高が原因の倒産件数は、過去最悪のペースで増えている。

 政府・日銀は、機動的な市場介入や追加金融緩和を打ち出して、円高を是正すべきだ。本格的な景気回復の実現に、全力を挙げなければならない。

 今年度の上場企業の中間決算は全体で、売上高が増えたのに利益は減少する「増収減益」だった。業種別では自動車と電機が大幅な「減収減益」と苦境が目立つ。

 タイの大洪水で工場が操業を停止し、大幅減産した企業も多い。冬の電力不足に対応した生産現場の節電も必要だ。製造業の4社に1社が、通期の業績予想を下方修正するなど先行きは厳しい。

 超円高や電力不足のリスクを回避するため、各企業は生産体制の見直しなどに努めることが求められている。

2011年11月16日01時05分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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