HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 13 Nov 2011 20:21:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:山本周五郎の名作『さぶ』に好きな場面がある。屏風(びょうぶ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 山本周五郎の名作『さぶ』に好きな場面がある。屏風(びょうぶ)やふすまなどを張る経師屋(きょうじや)で働く栄二が、理不尽な罪で島送りになった後、一流の職人を目指してやり直そうとする時のことだ。人足寄場(よせば)の仲間から言葉を掛けられる▼<生(うま)れつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼(め)に見えない力をかしているんだよ>。天賦の才があっても、一人では輝けない。そんな道理をさりげなく教えている▼少年たちが憧れるプロ野球も同じだ。選手たちを打撃投手やブルペン捕手、スコアラー、トレーナーといった大勢のスタッフが支える▼現役時代は大成しなかった人もいる。それでも選手が力を出し切れるように縁の下の仕事を黙々とこなす。影の役割に徹する人たちを大事にするチームは強い▼プロ野球の日本シリーズが始まり、息詰まる投手戦の末、初戦は中日がソフトバンクを下した。テレビ観戦でも野球の面白さを堪能できた。その前日、名門球団で表面化したのは前代未聞の内紛だ▼最高実力者にもの申す球団幹部の勇気を讃(たた)える声がある一方、「自爆テロ」という冷めた見方もある。シリーズはチームを支えるファンや裏方にとっても晴れの舞台。一球団の内紛騒ぎで水を差されたのは残念でならない。

 

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