HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49448 Content-Type: text/html ETag: "15dabf-1694-4b18bf2f06c59" Expires: Sat, 12 Nov 2011 20:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 12 Nov 2011 20:21:05 GMT Connection: close 事故原発廃炉 技術者の確保・養成も怠るな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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事故原発廃炉 技術者の確保・養成も怠るな(11月13日付・読売社説)

 事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所をどう解体するか。この廃炉について、政府の原子力委員会が初の報告書をまとめた。

 事故の完全な収束と、それに続く廃炉作業の着実な進展は、原発の信頼回復に欠かせない。

 報告書は、廃炉への手順と様々な課題を提示している。政府と東電は、年内を目途に詳しい工程表を策定し、直ちに廃炉作業の準備に入る方針だ。確実な遂行を目指してもらいたい。

 報告書によると、まず「2年以内」に、壊れた1〜4号機の貯蔵プール内に置かれた使用済み核燃料の取り出しを開始する。

 最難関は、原子炉内に溶け落ちた核燃料の取り出し作業だ。「10年以内」に着手する。最終的に炉を解体し、更地に戻すまでに「30年以上」を見込んでいる。

 ただ、1〜4号機は破損程度が異なる。作業の進展や課題を確認しながら柔軟に対応したい。

 まずはロボットなどを使って建屋内の汚染を除去し、人の活動範囲を広げることだ。原子炉の破損を補修し、炉内を水で満たして放射線や粉じんを防ぐ措置を取ってようやく、溶けた核燃料を遠隔操作で取り出せるようになる。

 外部への放射能漏れ防止や、作業員の被曝(ひばく)対策も怠れない。

 前例のない作業だけに、過酷な環境で活動できるロボットや遠隔操作の技術など、新たな研究開発が求められる。これを可能にするため、報告書は、産官学による「研究開発推進本部」の新設を掲げている。具体化を急ぐべきだ。

 廃炉作業が、最終工程まで「30年以上」を要する長丁場だとすると、継続して担う人材の質と規模が作業の成否のカギを握る。

 原発メーカーや電力会社、「原子力安全庁」、大学などの研究機関に配される優秀な技術者の確保や育成を忘れてはならない。

 そのためには、菅前首相の場当たり的な「脱原発」に決別し、高性能で安全な次世代原発の研究開発に取り組むことも検討する必要がある。

 国際協力も進めたい。海外の知見を生かせば作業の効率化につながる。得られた技術は今後、世界の原発の安全向上にも資する。ビジネスにも利用できるはずだ。

 一連の作業にかかる巨額な費用をどう確保するか。大量に発生する放射性廃棄物をどう合理的に処分するか。長期の対応が必要な課題も山積している。

 政府、東電は、その検討も始めなければならない。

2011年11月13日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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