HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 12 Nov 2011 20:21:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:いわゆる「巌流島の決闘」に宮本武蔵は遅刻した。佐々木小次郎…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 いわゆる「巌流島の決闘」に宮本武蔵は遅刻した。佐々木小次郎を焦(じ)らすためだったということになっている▼つまり、決闘は二人が面と向かった時ではなく、もっと前に始まっていたということ。遅れて登場することで、武蔵が、いつ勝負を始めるか、のタイミングを支配した。小次郎は、鞘(さや)を投げ捨てる前、既にこの時点で「敗れたり」だったのかもしれぬ▼さて、予定より一日遅れはしたが、首相は、結局、昨日、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。根強い慎重論を押し切り、バタバタと決断に至ったのは、十二日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に間に合わせるよう、米国にさんざんせっつかれ、脅されたゆえらしい▼いわば日本の参加決断という“勝負開始”のタイミングを米国に支配されたのである。政府はこの大問題をじっくり考える時間さえ確保できなかった。協議のテーブルにつく前に、既に交渉に負けている▼慎重論の核心は「交渉でどんな約束をさせられるかはっきりしない」ということ。賛成派は「交渉に入らねば中身も分からぬ」という。ならば、せめて、内容次第では交渉を離脱すると明言すべきだが、政府は米国に気兼ねして曖昧なことしか言わぬ▼勝つのはおろか逃げるのも覚束(おぼつか)ない…。さて、こんな頼りない交渉に、国の命運をかけてよいものか。

 

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