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70億人の世界 日本の新たな戦略が問われる(11月11日付・読売社説)

 この途方もない数字をどのように考えればよいのだろうか。

 世界の推計人口が70億人を突破した。1950年に25億人だった人口が3倍近くに膨れあがった。

 人口増加の勢いは、徐々に緩やかになっているが、それでも途上国を中心に、1年間に8000万の人口が増え続けている。2050年には93億人になり、21世紀末には100億人を超えて安定するという予測もある。

 最大の要因は、途上国の死亡率の低下だ。医療の進歩や食料増産により、人々の生活は飛躍的に向上した。1950年代初めには48歳だった世界の平均寿命は、68歳に延びている。それ自体は喜ばしいことだ。

 だが、初めて経験するこのグローバルな人口爆発を、人類は果たして無事に乗り越えられるのか。限られた食料資源、エネルギーを有効に活用しながら、平和と繁栄を維持していくことは可能なのか。課題は山積している。

 1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値「合計特殊出生率」は、世界平均では2・5だが、貧しい国ほど高くなり、アフリカの一部の国では5を超えている。

 貧困が長期化する恐れがある。最貧国の人々の生活を引き続き支援していくことは欠かせない。

 避妊の知識のない若者も数多い。家族計画の教育を進めることや、女性の地位向上をはかることも大切なことだ。

 国連人口基金は、世界中で進む高齢化の問題について指摘している。現在、60歳以上は世界人口の12%に過ぎないが、今世紀半ばには25%に達する見通しだ。

 高齢者の雇用政策を促進し、年金や医療制度の改革も進めていかなければならない。高齢化社会の先頭を走る日本の取り組みを、世界は注視している。

 2020年ごろには、インドが中国を追い越して世界人口第1位になると予想されている。

 42億人のアジアの人口は、約40年後に52億人に達した後、緩やかに減少すると見られている。現在約1億2800万人の日本の人口は、今世紀末には4800万人にまで減少すると推定される。

 一方、10億人のアフリカの人口は、今世紀末に35億人に達すると見られる。移民など国境を越えた移動も活発化することだろう。

 食料や資源の争奪戦も予想される。国際政治の力学も大きく変化するに違いない。世界の大きな変動を視野に入れた日本の戦略が求められよう。

2011年11月11日01時36分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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