HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 11 Nov 2011 01:21:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ギリシャ危機のことを考えていて、不意に寺山修司の歌を思いだ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 ギリシャ危機のことを考えていて、不意に寺山修司の歌を思いだした。<ふるさとの訛(なま)りなくせし友といてモカ珈琲(コーヒー)はかくまでにがし>▼故郷・青森の言葉を封じたのが、やるせなかったのか。友は、都会人の仲間入りをしたくて標準語をしゃべったのだろう。ナントカ圏に入るというのも、それに通じる。その仲間内のスタンダード、標準の受け入れを迫られるのだから▼ギリシャは元来、社会も経済もずいぶん丼勘定、いや、おおらかな国だったと聞く。それが魅力、らしさ、でもあるが、その点、例えば、欧州連合(EU)を主導するドイツの何事もきっちりした国柄とは懸け離れている▼だが、EU・ユーロ圏入りすることで、いわばドイツ的標準を受け入れる道を選んだ。素人考えだが、そもそもそこに、この国の陥穽(かんせい)はあった気がする。EU各国のギリシャ批判とは、つまり<なまり>を消せ、の合唱である▼予定を一日遅らせたが、首相は今日、環太平洋に自由貿易圏をつくるTPP交渉への参加を表明するそうだ。懸念は数えきれないが、最たるものは、広い範囲で、TPP的、実は米国的標準の受け入れを迫られるのではないかということ▼ギリシャとはまた違うが、いくら独特で非効率でも、日本には日本にあったやり方が社会、経済のあらゆる部分にある。<なまり>を失って、苦い思いをしたくない。

 

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