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11月10日付 編集手帳

 川柳には思わず噴き出してしまう愉快なものが少なくないが、なかには胸に(とげ)の刺さる句もある。〈貧しさは時に罪なき子を叱り〉(鉢朗)。川柳作家、麻生路郎さんの『川柳とは何か』(教育情報出版刊)から引いた◆いらだつままに、ささくれ立った感情のおもむくままにわが子を叱ってしまい、叱った自分が情けなくて暗い気分に沈んでいる父親の姿が浮かんでこよう◆生活保護を受けている人が205万人を超えたという。戦後の混乱期を上回り、過去最多である。働く意欲はあるのに仕事が見つからない、働き盛りの受給者が増えている。悔しいに違いない。心ならずも、一句に詠まれた情景を繰り返した親御さんもいるだろう◆つきつめれば、景気を回復させて雇用を増やしていくしかない。震災復興や原発事故対応など懸案は山積しているが、政治家一人ひとりの胸の中にピンで留めておいてほしい数字である◆歌人の坪野哲久さんに一首がある。〈少年貧時(ひんじ)のかなしみは烙印(らくいん)のごときかなや夢さめてなほもなみだ(あふ)()づ〉。成人したのちも夢に見るほどにつらい記憶を世の子供たちに残したくない。

2011年11月10日01時23分  読売新聞)

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