HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49168 Content-Type: text/html ETag: "15cfb5-169a-4b12799e8141c" Expires: Mon, 07 Nov 2011 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 07 Nov 2011 22:21:10 GMT Connection: close 会計検査院報告 復興予算の執行に指摘生かせ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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会計検査院報告 復興予算の執行に指摘生かせ(11月8日付・読売社説)

 危機的な財政の再建を目指しつつ、東日本大震災からの復旧・復興に取り組む。それには、限られた財源を有効に活用することが欠かせない。

 会計検査院がまとめた昨年度の決算検査報告書には、今後、震災復興に予算措置を講じていく際に、教訓となりうる指摘が盛り込まれている。

 その一つが、国の補助金で地方に作られた様々な基金が効果的に利用されず、“使い残し”になっている問題だ。

 2008、09年度の補正予算では、世界的な金融危機への緊急経済対策として、3兆4000億円が投入され、各自治体には雇用対策促進などの事業を実施するための基金が設置された。

 基金は複数年度の消化が認められているとはいえ、実際に使われたのは昨年度末時点で4割にとどまり、2兆円が残っていた。

 補助金を交付する府省が地方のニーズを十分に把握せず、過大な見積もりと配分をしたことが原因だと、検査院は分析している。

 例えば、社会福祉施設の改修工事費を助成する事業では、工事の申請が予想を大幅に下回り、事業終了年度を迎えても多額の使い残しが出ると見込まれている。

 府省や自治体は基金の使用状況に目を配り、余剰と判断できる分については、終了年度前でも国庫に返すことを検討すべきだ。

 報告書は、国や自治体の防災対策の不備にも言及している。

 大地震の発生時に緊急物資の海上輸送ルートを確保するため、国は港湾の岸壁強化事業を実施してきた。しかし、54港を抽出調査したところ6港で、岸壁付近に消波ブロックなどがあるため、輸送に支障が出ることが確認された。

 自治体は土砂災害の危険がある場所について、国の補助金で現地調査を行い、警戒区域を指定している。だが、対象区域の避難体制が未整備だったり、ハザードマップを住民に配布していないなどのケースがあった。

 将来、首都直下型や東海などの大地震発生が懸念されている。早急な対応が求められる。

 東日本大震災関連では、政府は5年間で19兆円の復興費を想定しているが、各府省の要求が相次ぎ、予算規模は膨らみがちだ。今年度の補正予算と来年度の当初予算の概算要求を合わせると、既に18兆円を大きく上回っている。

 検査院の指摘を真摯(しんし)に受け止め、政府は各事業の緊急性や必要性を精査し、適正な予算の編成・執行に努める必要がある。

2011年11月8日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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