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11月8日付 編集手帳

 新聞記者は「押しと顔」だといわれる。押しが強くて面の皮が厚い、と。新聞記者出身で『高校三年生』の作詞家、丘灯至(おかとし)()さんのように、「押しと顔」を逆にしてユーモアのにじむ筆名とした人もいた◆世間一般にはタフで神経の図太(ずぶと)い人種と映るようである。実際には記者も人の子、切れば血の流れる生身の心をもっている◆3月11日の夜、盛岡支局の記者は妻と娘2人(4歳、2歳)の身を案じつつ、取材に向かった。途中で妻から携帯電話にメールが届く。〈記者の妻は強いのよ。子供たちは大丈夫。私が守るから〉◆『記者は何を見たのか―3・11東日本大震災』(今月10日発行、中央公論新社)は本紙記者78人の取材手記である。号泣する記者がいる。歯を食いしばってカメラのシャッターを押す記者がいる。言葉に尽くせぬ惨状を前にして煩悶(はんもん)する記者がいる◆書かれた記事こそがすべて、という見方もあろう。そうかも知れないが、被災者の流した涙のひと粒ひと粒を現場で拾い集めた記者たちの、拾う指先の震えを見ていると、あの日の戦慄がまざまざとよみがえる。それもまた、たしかである。

2011年11月8日01時27分  読売新聞)

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